イタリアの都市は、「楽しさ」ではなく「充足」をつくる。
イタリアの魅力は、単に華やかで明るいことではない。 本当に惹かれるのは、その華やかさが生活の延長にあることだ。 芸術は特別な施設の中だけにあるのではなく、街路や広場や食卓にまで染み込んでいる。
だからイタリアの都市を歩くと、人は「見た」「食べた」だけでは終わらない。 自分自身の感覚が満ちていく。 この章で扱うのは、そうした都市の充足感であり、前章までのリラクゼーションが最後にたどり着く、ひとつの答えでもある。
文化による安寧、都市の個性による安寧、風景による安寧、時間による安寧。 そのどれかひとつではなく、全部が同時に存在している。 それが、イタリアの章の強さだと思う。
